チェリム徹底解説
太陽を待つ花
デザインの出発点は、閉じたつぼみと光によって開花した花という、2つの状態にある植物だ。もっともわかりやすいモチーフは、日本と結びつきの深い桜の花だが、縮こまった姿にはフクシアのつぼみや、あとで果実をつける花の房も思わせる。光に反応して開く仕組みは、植物の成長ではなく照明に反応して花が動いたり開いたりするフォトナスティズムと一致する。
日本語名のチェリムは英語名でもそのまま使われている。もっとも明確な由来は、さくらんぼや桜を意味する「cherry」で、そこに「cherubim」や開花を思わせる要素が組み合わさっている。小さく植物的で、桜の花に関係する生き物であることを示しつつ、その行動を文字どおり説明する名前ではない。
2つの状態、同じ種族
戦闘中は晴れになると花びらを広げ、フラワーギフトを発動する。第4世代のゲームでは、姿の変化と特性は別々に処理されていた。第5世代以降は、戦闘中のフォルムチェンジが特性と結びつくようになった。Pokémon LEGENDS アルセウスでは別のルールが使われており、戦闘中に特性を使わないため、姿は周囲の天候と時間帯によって決まる。
この経緯が、作品によってチェリムの見え方が異なる理由だ。どの作品でもつぼみと開いた花の対比は保たれているが、発動する条件は同じではない。戦闘以外では、通常は閉じたつぼみの姿で表示される。
数値が抱える問題
70-60-70-87-78-85という配分はひどいわけではないが、明確な役割を与えてくれるわけでもない。特攻87はエナジーボールを使いたくなる数値である一方、フラワーギフトは味方の攻撃を伸ばす晴れ中心の戦術を促す。チェリムは支援と攻撃を同時にこなそうとして、どちらでも突出できなくなる。ドレインキッスはダメージと回復を両立できるが、特殊威力50なので攻めの圧力は低い。はなびらのまいは威力120で大きなダメージを与えられるものの、数ターンにわたって攻撃を続けなければならない。ねむりごなで隙を作ることはできるが、命中させる必要があり、チェリムは何度も試せるほどの耐性を持っていない。
シングルバトルでは、晴れに1ターン使うあいだにチェリムが無防備になる。ダブルバトルなら、味方全体に効果があり、物理型の味方が攻撃上昇を活かせるため、フラワーギフトの意味が大きくなる。それでも防御70とHP70では、ほのお、こおり、ひこう、むし、どくタイプの効果抜群技を受けると早く退場しやすい。
開花前のチェリンボ
レベル25での進化は冒険の序盤から中盤にかけて訪れやすく、小さなつぼみの生き物が、天候に目に見えて反応する姿へと変わる。チェリンボのまま長く使う意味があるのは、技の習得順を重視する場合か、見た目を好む場合くらいだ。進化しても、チェリムの技範囲の狭さが解決するわけではない。
くさタイプなので、有利な状況ならみず、じめん、でんきタイプに繰り出せる。レベルアップで覚える技のなかでは、エナジーボールがもっとも素直な攻撃手段だ。しびれごなは相手の動きを鈍らせ、ねむりごなはより強力な行動制限になる。通常プレイなら、晴れパーティの支援や、みずとじめんタイプへの対策として十分に機能するが、相手がほのお技を残していると弱点を補いきれない。
野生の個体が持っているきせきのタネは、チェリムのコンセプトをよく表している。適した条件を見つけることで力を発揮する植物の生き物だ。晴れでなければ花びらは閉じたままで、フラワーギフトも効果を十分に発揮できない。