コクーン徹底解説
糸にぶら下がる蛹
デザインは、何を元にしているのかを隠そうともしない。完全変態する昆虫の蛹の段階で、膨らんだ頭部、白い瞳孔のある黒く三角形の目、そして中ほどの高さにある鎌状の2本の突起を持つ。具体的なモチーフはハチ、とくに一部の寄生バチが糸で枝からぶら下げる繭だ。だからこの姿勢になり、自分でつかまるための脚も、何かにしがみつく形も持っていない。
特にありがたいのが温度の設定だ。長い図鑑説明は、動かないことを緊張感に変えている。外側では何も起きていないように見えても、内側では体全体が組み替えられていて、その過程を知らせるのは殻に触れたときの熱さだけ。現実の生物学を、百科事典のデータらしい形に着せた説明である。
逆向きにたどる名前
ここには面白い対称性がある。日本語名のコクーンは日本語ではない。英語のcocoonをカタカナにした、直接的で文字どおりの借用語だ。西洋名のKakunaは逆向きに進み、同じ言葉を日本語の名前らしく聞こえる形に変えたものなので、カクナと書いても違和感がない。それぞれの言語で、各バージョンが外国語らしく聞こえる。
このことは系統全体にも当てはまる。トランセルは、ビードル系統における正確な対応役で、metamorphosisとpodを組み合わせている。ホウエンのマユルドは、またcocoonに戻る。同じ役割と同じ語源を持つ3種族だ。
下向きに刻まれた記録
基礎ポイントの205は、1回進化したポケモンが共有する最低値で、ほかの蛹ポケモンと並んでいる。攻撃の25は、どくタイプ全体で最低の数字だ。下向きの記録が2つ並んでいるのはデザイン上の偶然ではない。この種族は、何もしないために作られている。
第1世代では配分がさらに平坦だった。特攻と特防が1つの項目「とくしゅ」にまとめられており、その値が25だったからだ。第2世代で分かれたあとも、それぞれ25になったので、変化によって何かが動いたわけではない。防御の50だけがほかを上回る数字であり、このポケモンができる唯一のこととも一致している。
3レベルと1話
『赤・緑』ではトキワの森と24番水道、25番水道で出会え、そこではポイントをくれるだけの袋のような存在だ。野生の個体は「かたくなる」しか使えず、わざマシンも受け付けない。あまりに強い一撃が当たるまで、退屈な引き分けのような戦闘になる。そのため、そうした戦いを覚えている人は多い。
アニメは、より短い時間でこのポケモンを活かした。トキワの森のエピソードでは、グループが複数のコクーンに遭遇し、ロケット団も絡むなかで、コクーンたちは一斉に進化して襲いかかってくる。不活性な段階から攻撃的な群れへ移るまでが数秒しかかからない。この種族が脅威に見えた場面は、おそらくこれだけだが、長く続かないからこそ成立している。