ギルガルド徹底解説
王冠を目指す剣
デザインの出発点は、盾をともなうポルターガイストの剣だが、テーマは中世ファンタジーだけにとどまらない。日本の伝説に登場する、使われなくなった道具が魂を得る存在、付喪神の伝統も取り入れている。剣というモチーフは、呪われた武器の物語や、ふさわしい持ち主を認める伝説の剣とも重なる。だからポケモン図鑑では、命令に従うだけの武器として扱われない。王の器がある人物を見定め、道行く者を支配することさえある。
シールドフォルムは、王を守る番人というイメージを強めている。ブレードフォルムでは盾を脇に置き、攻撃に特化した姿を見せる。英語名は、この2つの概念を「守り」と「斬る」という非常に直接的な2語にまとめている。日本語名のギルガルドにも、殺すことと守ることの語呂合わせが残っており、ギルガメシュや黄金を思わせる響きもある。
登場から防御面の調整まで
ギルガルドは第六世代で、ニダンギルの進化形として登場した。1本の剣だったヒトツキから始まり、その後2本の剣になった進化ラインの締めくくりでもある。登場時から、フォルムチェンジを対戦の中心となる仕組みにしていた。種族値だけを見ていては足りず、いつ攻撃し、いつ防御寄りの性能に戻るのかを読む必要があった。
後の世代では、防御面の種族値が下げられる調整を受けた。現在の配分にも同じ発想は残っているが、次の行動を考えながら攻撃を何度も受ける余裕は小さくなっている。キングシールドの使われ方も変わった。シールドフォルムへ戻るための決定力のある手段であることに変わりはないが、考えなしに繰り返すと、読んでいる相手にただで行動する隙を与えてしまう。
2つの構えを活かす方法
安全に使うなら、ノーマル、かくとう、どくタイプの攻撃を無効化でき、こちらを傷つけられない相手に繰り出すのが基本だ。そして相手が交代を強いられているときや、反撃できない状況で攻撃に転じる。シャドーボールは安定した特殊打点になり、インファイトはゴーストSTABに耐える相手を崩せる。せいなるつるぎは相手の能力変化を無視できるため、相手が強化を狙ったときにも攻撃しやすい。かげうちは素早さ60を補い、すでに体力を失った相手を仕留めるのに役立つ。
つるぎのまいは、確実に動けるターンを作れるチームで使いやすい。攻撃を上げた後は、かげうちが全抜きの手段としてさらに価値を増すが、ブレードフォルムで防御が下がる危険は残る。相手がほのお、じめん、ゴースト、あくタイプの技を残しているなら、返しを考えずに攻撃すると無防備になりかねない。毎ターン攻撃技を選ぶより、我慢して動くことのほうが重要だ。
受け継いだものと捨てたもの
ヒトツキと比べると、盾を得て、より防御寄りの個性を手に入れた。ニダンギルと比べると、2本の剣という見た目を失う代わりに、シールドとブレードを切り替える仕組みを得ている。この変化が、種族値配分の一見矛盾した印象を説明する。高い防御性能は一方の構えにあり、攻撃能力はもう一方の構えで大きく伸びる。
対戦では、シングルでもダブルでも高い存在感を示した時期がある。無効タイプ、攻撃圧力、そして相手に読み合いを迫る特性を兼ね備えているからだ。ただし、扱いやすい選択肢ではない。採用するチームは、ほのおとじめんへの対策を用意し、状態異常で消耗させられないようにし、安全に繰り出せる場面を作る必要がある。ブレードフォルムのまま悪いタイミングで倒されると、HP60と素早さ60では立て直す余地がほとんどない。