アノクサ徹底解説
進む方向を決められない球体
デザインの出発点は、風に吹かれて離れ、乾いた茎の塊が転がっていく回転草、いわゆるタンブルウィードだ。この発想はアノクサの描写ともよく合っている。自分の意思で進むのではなく、行き先も知らないまま空気に押されていくのだ。ゴーストの要素は、もともと砂漠や荒れ果てた風景に属しているイメージに、超自然的な理由を加えている。目は枝のあいだに挟まった種のように見え、側面の2本の突起は角を思わせる。
この種族には、パルデアと強く結びついた読み方もできる。回転草、無人の町、霊の物語の組み合わせは、地域の一部にある西部劇風の雰囲気とよく合う。さらに、回転草や風の強い日に関係する、ムルシア地方の民間伝承に登場するアリコーンとのつながりも考えられる。この参照元が直接確認されているわけではないが、植物らしい見た目から受ける印象以上にデザインが暗く感じられる理由にはなるだろう。
名前に隠されたもの
Bramblinはスペイン語でも英語でも同じ名前だ。前半は、とげのある茎を持つ植物を指す bramble を思わせ、全体の響きからはあてもなくさまようものが連想される。名前の裏に複雑な生き物を探す必要はない。そこらをさまよう、とげの茂みをそのまま表した名前だ。
日本語名のアノクサは、「あの草」を意味する ano kusa と、「野草」を意味する nogusa をかけている。英語名よりも文字どおりで、幽霊らしさは薄い。どちらの名前も、動かしている魂より先に植物の素材へ目を向けている。
とげが届く範囲
アノクサには世代をまたいだ戦いの歴史がなく、第九世代で初登場して以来、その性能はこの世代の環境に由来する。数値を見れば立ち位置は明らかだ。こうげき65とすばやさ60によって遅めの相手より先に攻撃できることはあるが、HP40、ぼうぎょ30、とくぼう35では、ミスを許す余地がほとんどない。とくこう45も、とくしゅアタッカーとして組む理由には乏しい。ただしギガドレインはHPを回復でき、ストーリー中なら十分なダメージ源になる。
かぜのりは、対戦相手をもっとも大きく変える要素だ。風を使う技に依存するチームに対しては、その技のダメージを受けずに繰り出せるうえ、こうげきも上がる。ただし、この限定的な無効を全体的な耐性と取り違えてはいけない。ほのお、こおり、ひこう、ゴースト、あくの攻撃は依然として直接的な問題になる。ノーマルとかくとうへの無効は、相手が対策技を持っていない場合、とくに予測しやすい技に合わせて繰り出す助けになる。
通常のプレイでは、こうそくスピンで場の危険を取り除き、まきびしで交代を咎め、のろいで長期戦を狙う相手に対応を迫れる。ゴーストダイブは物理火力を出せるが、1ターン待つ必要があり、そのあいだに交代や素早い反撃を許してしまう。活かすなら、弱った相手、風を使う相手、あるいは強い攻撃を受けずにまきびしを置けるタイミングに温存したい。
Brambleghastが来る前
自然な比較対象はCacturneだ。どちらもとげのある見た目の植物系で、攻撃寄りの性質を持つ。ただしアノクサはあくをゴーストに変え、より脆く、補助寄りの方向へ進んでいる。風への依存という点では昔ながらの回転草にも似ているが、特性のかぜのりによって、その視覚的なつながりが実際のメカニクスになっている。
進化にはレベルアップが必要で、さまよう球体としての段階はそこで終わる。進化前の価値は、無効耐性を活かし、まきびしを置き、こうそくスピンで場のステルスロックなどを取り除き、ギガドレインやちからをすいとるでHPを回復する瞬間を見極めることにある。相手がほのおやあくへの対策を持ち、風を使う技も見せないなら、直接の殴り合いでできることはほとんどない。