ミミッキュ徹底解説
下手に描かれた変装
デザインの出発点は、ピカチュウに似せるためにシーツをかぶる生き物という、わかりやすい発想だ。顔はクレヨンで子どもが描いた絵のように粗く、木製のしっぽによって、まねとしての不自然さがさらに強調されている。ピカチュウを選んだことで、シリーズのマスコットとしての人気や、その姿を使ったグッズ展開ともデザインがつながっている。
英語名のMimikyuは、まねをするという意味の「mimic」に由来し、「-chu」で終わる名前の遊び心も残している。日本語名のミミッキュも、同じ音の組み立てを保っている。また、外見が人に嫌悪感や孤独を抱かせるブルターニュ地方の伝承に登場する精霊、ブグル・ノズとの関連も指摘されている。アローラのミミッキュは、その発想をさらに危険な方向へ進めた存在だ。布の下には、落ち着いて確かめられる顔があるわけではない。
破れる布
ミミッキュは第7世代で、専用特性のばけのかわと、攻撃を受けて布が破れたときに見た目が変わる仕組みをともなって登場した。ばけたすがたとばれたすがたは、特性の状態を外見に反映したものだ。ぬしの姿にあたる変化は、その発想を広げつつも、進化を追加するものではない。
世代をまたぐなかで、第8世代ではばけのかわが完全にノーダメージではなくなった。攻撃を受けても無傷でいられることで生まれていた優位性は小さくなったが、攻撃する、または次の技を準備するための1ターンを買うという役割は残った。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、テラスタルも新たな判断材料になるが、低いHPや限られた火力まで解決してくれるわけではない。
ばけのかわで得た1ターンを活かす
もっともわかりやすい動きは、ばけのかわが残った状態で場に出て、つるぎのまいを使い、シャドークローとじゃれつくで攻め始めることだ。かげうちは先制技なので、弱った相手を仕留められる。すばやさ96でも場の全員を抜けない状況では、とくに役立つ。チームに行動順の操作が必要なら、トリックルームによってミミッキュの役割は大きく変わり、補助技を活かしやすくなる。
ちょうはつで変化技を封じたり、おにびで物理ダメージを抑えたり、相手と自分の両方が少ないHPになったときにいたみわけを使ったりもできる。ばけのかわで得た1ターンを攻撃に使うか、積み技に使うかが最大の判断になる。布を破ったあとでも倒せる手段を相手が残しているなら、つるぎのまいは欲張りすぎることがある。
ほかのまねっこと並ぶシルエット
もっともわかりやすい比較対象はPikachuだが、役割は正反対だ。ピカチュウはミミッキュがまねようとしているイメージそのものであり、ミミッキュはそのまねを防御と脅威に変えている。Zoruaとも正体を隠すという点で共通しているが、ゾロアがイリュージョンに頼るのに対し、ミミッキュは最初の一撃を受け止める。
Banetteと比べると、ミミッキュはフェアリータイプを持ち、ばけのかわのおかげで防御面の役割がはっきりしている。その代わり、ジュペッタは別の形で圧力をかけられる一方、ミミッキュは物理耐久の低さに左右される。この緊張感がデザインにもよく表れている。布はほかの存在に近づくための助けになるが、受けられる攻撃には限りがある。