イルカマン徹底解説
秘密の正体を持つイルカ
デザインはイルカとスーパーヒーローの美学を組み合わせている。ナイーブフォルムはナミイルカの体つきを保ちつつ、胸にハート形のマークを加え、進化してもまだ正体を隠しているように見える。マイティフォルムになると印象が変わり、体つきはより力強いシルエットになり、ハートはエンブレムとして機能する。普段は市民として暮らし、誰にも見られていないときだけコスチューム姿になるヒーローを思わせる発想だ。
日本語名のイルカマン(Irukaman)は、イルカを意味する「iruka」と、スーパーヒーローの名前によく使われる「man」を組み合わせたもの。Palafinの名前には英語で「ひれ」を意味するfinが残され、Finizenとの直接的なつながりも保たれている。特性名のマイティチェンジも同じ発想を仕上げており、控えめな姿から戦う準備のできた姿へ移ることを表している。
協力を求める進化
レベル38への進化は、ナミイルカをただ育てるだけでは起こらない。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、ユニオンサークルに参加した状態である必要がある。この条件によって、進化系統がゲーム内の協力プレイとめずらしい形で結びつき、完全なソロプレイでは最後の進化が起こらない理由にもなっている。
レベル38という選択は、スーパーヒーローのイメージにも合っている。この数字は、スーパーマンがデビューした1938年を思わせる。バトル中の性能には何も影響しないが、秘密の正体を中心に組み立てられた進化に、もう1つの読み方を加えている。
ヒーローになるために必要な1ターン
対戦での流れは理解しやすい一方、実行は難しい。ナイーブフォルムで場に出て、クイックターンを使うか通常の交代で離れ、マイティチェンジを発動させる。そのあと、はるかに危険な姿で戻ってくる。問題は、その間に相手へ場を整えたり、攻撃を仕掛けたり、交代を利用したりする隙を与えてしまうことだ。
ジェットパンチは終盤の展開を決める技だ。変身してもすばやさは上がらないが、先制できるため、すでにダメージを受けた相手を倒しやすい。ウェーブタックルは反動と引き換えに受けポケモンを崩し、きあいパンチ、インファイト、れいとうパンチ、しねんのずつきで、みずタイプの技1つに頼らない攻撃範囲を確保できる。ビルドアップとドレインパンチを組み合わせれば、耐久を高めながらHPを回復する、より正面から戦う型も使える。
くさとでんきタイプの相手が、最もわかりやすい問題になる。みずタイプの攻撃をしっかり受けられる高耐久のみずポケモンも、主力技を耐えて再度の交代を迫ってくる。場を離れてからでないと最大限の力を発揮できないため、ステルスロックなどの設置技による負担も特に大きい。
比較できる過去のないデビュー
イルカマンは第九世代で登場したため、過去の世代から種族値や特性、わざの変更を引き継いでいない。対戦での歴史は、最初から2つのフォルムの仕組みとともに始まっている。変身前は見た目も性能もナミイルカに近いが、変身後は役割が変わり、相手をとどめたり、受けを崩したりするために出てくる物理アタッカーに近い立ち位置になる。
ほかのみずタイプのポケモンと比べると、みずタイプの先制技、交代技、そしてフィールドを離れることで能力が変わる変身を組み合わせている点が特徴だ。最初のターンから高火力で攻められるアタッカーほど気軽には扱えない。最初の交代を準備し、十分なHPを残してバトルに戻れるかどうかが価値を左右する。胸のハートは飾りではなく、2つの段階の違いを示している。