ニョロトノ徹底解説
ニョロトノ、オタマジャクシたちの王
日本語名のニョロトノは、最初のオタマジャクシから続く進化ラインの「ニョロ」に、封建領主への呼びかけに使われた「殿」を組み合わせている。英語名のPolitoedは別の作りで、オタマジャクシを意味するpolliwogと、ヒキガエルを意味するtoadを混ぜたものだ。2つの名前は別の道筋から同じところを指している――位階を上げた両生類だ。
進化を起こす道具が、この冗談を締めくくる。おうじゃのしるしで進化する種族はシリーズ全体で2種類しかなく、どちらも王冠にたどり着く。ニョロトノとヤドキングだ。デザインも2つの仕草で役目を果たしている。前の姿とは違う直立した姿勢と、額の巻き毛だ。図鑑説明はこれを髪ではなく、身分を示す徽章として繰り返し扱っている。
3世代待ち続けた雨
第二世代で、図鑑番号186として登場した。それまで1匹しかいなかった進化ラインの、もうひとつの最終形だ。長いあいだは本当にそれだけだった。特殊耐久に優れた、まずまずのみずタイプで、同じことをする多くのみずタイプを前にすると、独自の主張はなかった。
第五世代で隠れ特性として配られたあめふらしが、筋書きを変えた。場に出た瞬間に雨を呼ぶことで、目立たない種族が、ひとつの戦術全体を支えるパーツになった。当時の雨は別の天候に変わるまで消えず、ひとつの交代だけで試合全体を傾けることもできた。
第六世代でそれが削られた。以降、特性で呼び出した天候は5ターン、しめったいわを持たせても8ターンしか続かない。戦術は永続するものから、カウントダウンへ変わった。実戦上の結果は、ターン管理が必要になったことだ。習慣で最初に出すのではなく、正しいタイミングで出し、雨が上がる前の5ターンをどの仲間が活用するのかをはっきりさせておく必要がある。
ひとりではほとんど覚えない
レベル技のリストは見ておいたほうがいい。笑ってしまうほど短いからだ。『スカーレット・バイオレット』では、レベル1の技がたいあたり、ハイドロポンプ、はらだいこ、あまごいの4つしかなく、思い出せる技としてとびはねるが加わる。それ以外はすべて技マシンか、進化前から受け継ぐ技だ。交換進化のポケモンにはよくある代償だが、ここではその数が目立つ。
そのリストの中に、ひとつ変わった技がある。はらだいこはHPの半分を犠牲にして、攻撃を最大まで上げる。ところがニョロトノの攻撃は75で、能力値の低い側にある。そのあとにつなげられる物理技も、威力85のアクアテールや威力80のたきのぼりでは、壊した分を埋め合わせられない。覚えることになっているから覚えるのであって、役に立つからではない技だ。
ニョロボンと比べると、役割分担は明確だ。あちらはみず・かくとうタイプで、体を使って殴る。こちらは2つ目のタイプを捨て、みず単タイプのまま、特殊方面と特性にすべてを賭ける。殴り合いをしたいならあちら。雨がほしいなら、この進化ラインではこちらしかいない。