ワッカネズミ徹底解説
1つの単位として設計された2匹
ワッカネズミは水谷恵によってデザインされた。見た目の発想は小さなネズミを表現するだけにとどまらず、仕事も食べ物も住みかも分け合う1組の存在を描いている。巻いたしっぽと丸みを帯びた形が小さな動物らしさを強める一方、全体の配置は、隣り合わせに置かれたおもちゃの人形を思わせる。重要なのは、片方が主役でもう片方が付属しているわけではないことだ。2匹で種族を構成し、2匹が同時に行動する。
『ポケットモンスター スカーレット』の図鑑説明では、巣を作るための協力作業が強調されている。『ポケットモンスター バイオレット』では、食べ物を正確に分けることが付け加えられる。どちらも単純な観察だが、攻撃面の特徴よりもワッカネズミをよく表している。実用的な協力と、つねに一緒に暮らすことだ。
修正すべき過去のない初登場
第9世代で初登場したため、それ以前の世代との間で能力値や特性、技が変更された経緯はない。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』で登場し、進化系統も短い。最初の2匹と、その後に現れる家族であるイッカネズミだけだ。冒険序盤の単独のげっ歯類を表すコラッタと比べると、ワッカネズミはデザインの段階から共同生活を中心的な特徴にしている。ビッパとは、序盤に登場するシンプルな種族という立ち位置を共有するが、より高いすばやさと、はっきりしたサポート性能を持つ。
進化によって、ポケモンの姿はフォルムが変わるまで一定に保たれるという、ありがちな予想も崩される。新しい家族にはメンバーが増え、デザインの見え方も変わる。巣を作る2匹から、1つの存在として行動する家族の集団へ変化するのだ。
進化前にできること
ストーリーでは早い段階から手持ちに加えられ、すばやさ75を活かして多くの相手より先に動ける。たいあたりとエコーボイスが序盤のバトルを支え、いかりのまえばはHPの多い相手にも有効だ。でんじはは、とどめを刺す力の乏しさを補ってくれる。ダブルバトルでは、直接ダメージを狙うよりもてだすけの価値が高い。特に、味方がすでに高い攻撃能力を持っている場合に有効だ。
問題は、HP50、ぼうぎょ45、とくぼう45では強力な攻撃を受けきれないこと。とくこう40では特殊型を組む理由に乏しく、こうげき50ではねずみざんやじゃれつくも、進化後の種族と競えるほどの安定性には届かない。ノーマルタイプはゴーストタイプを無効にできる点で役立つが、耐性を持たないため、かくとうタイプの相手には引かざるをえない。
名前に隠されたコンセプト
Tandemausという英語名には、デザインの要点がまとめられている。tandemは連携して進む要素を指し、Mausはドイツ語で「ねずみ」を意味する。日本語名は別の方向から、輪を表す「わっか」とねずみを組み合わせている。これは、しっぽの形や、身を寄せ合った2匹の姿にも合っている。どちらの名前も、単に動物の種類だけを説明してはいない。メンバー同士の関係そのものが、この種族の一部だと示している。
このコンセプトがあるからこそ、進化系統は単純な能力の上昇というより、視覚的な流れとして機能する。2匹の時点ですでに家族の発想が含まれており、進化によってそれが目に見える形になる。