ケーシィ徹底解説
ケンタッキーのエスパーとローマの言葉
日本語名のケーシィは「Casey」と読め、トランス状態で病気を診断すると称していたアメリカの霊能者、エドガー・ケイシーを指している。英語名は別の方向から来ている。Abra、Kadabra、Alakazamを続けて読むと、舞台のマジシャンがハンカチを持ち上げる前に唱える呪文になる。abracadabraという言葉自体はそれよりずっと古く、3世紀のローマの医学書に、熱病の治療法として護符へ書かれたのが最初の登場だ。
系列内での役割分担もその理屈に沿っている。最初は単独では意味を持たない「abra」という音節にすぎず、手品全体は次の2段階に仕込まれている。
技1つのポケモン
レベル1でテレポートを覚え、どの世代でもレベルアップではそれ以外の技を一切覚えない。シリーズでも珍しい例で、できることはすべてわざマシンや技の習得で教え込むしかない。最初の15レベルのあいだ、手持ちに入れたトレーナーが各ターンに選べる行動は正確に1つ、戦闘から立ち去ることだけだ。
この技の役割は、年月とともに変わった。もともとは野生ポケモンとの戦闘から逃げる手段で、その後は最後に立ち寄ったポケモンセンターへ戻る技になり、『Let's Go!』と『ソード・シールド』以降は、優先度−6でポケモンを交代させる技になった。技に設定された優先度の低下としては、これまでで最大だ。逃走ボタンだったものが、チーム戦では交代を回す道具になった。
特性も最初から存在したわけではない。特性システムが登場した第3世代でシンクロとせいしんりょくが加わり、すべてを変えるマジックガードは第5世代の技術だ。それまでは、真面目なパーティに入れる理由など誰にもなかった。
捕獲がそのまま戦闘
捕獲率200なら、ボールを投げること自体はほとんど手続きにすぎない。問題は投げるところまでたどり着くことだ。ケーシィは素早さ90で技が1つしかないため、遭遇時の展開は決まっている。先に動き、テレポートして、画面から消える。昔からの対策は、動く前に眠らせるか、逃げられなくするかの2つで、どちらにしても1ターン目に決めなければならない。
捕まえるのをこれほど面倒にする仕組みが、図鑑説明で種族を成り立たせている仕組みと同じなのは面白い。眠ったまま、何も知らずに逃げる。そのため目を覚ましたときには、方向感覚を失っている。
カントーの他のエスパーと比較
スリープは第1世代における正反対の存在だ。遅く、しぶとく、レベルアップだけで覚える技のリストが自然に増えていく。ケーシィは逆の配分で、素早さと特攻にすべてを寄せ、後ろには何もない。カントーの外でもっとも分かりやすい対比はラルトスだ。こちらも、何か大きなものになるために存在するようなばかげて低い初期段階で、最初の進化まで生き残るのに苦労する。
違いは、進化系列の先に何が待っているかだ。ケーシィの系列は、ゲームでもっとも速い特殊アタッカーの一匹で終わる。その行き先があるからこそ、最初の段階はここまで貧弱なのだ。合計310のポケモンにとって、実際の役割は16レベルをこなすことだけなのだから。