サッチムシ徹底解説
メモを取る幼虫
サッチムシのコンセプトは、周囲を観察して記録する小さな昆虫から来ている。もっともわかりやすいモチーフはテントウムシの幼虫だが、デザインには勉強熱心な学生を思わせる要素も加えられている。目はメガネのように見え、首の突起は蝶ネクタイを連想させる。その組み合わせによって、強力な生き物にすることなく、知性を感じさせる姿になっている。
英語名は、レーダー上の小さな信号を意味する「blip」と、昆虫を意味する「bug」を組み合わせたもの。日本語名のサッチムシは、察知や探すことと、「虫」を意味する「むし」を結びつけている。どちらにも、力で押し切るより先に情報を見つけ出すという共通の発想が表れている。
規模が変わる進化系統
第8世代で、ポケットモンスター ソード・ポケットモンスター シールドとともに初登場した。過去の世代には登場せず、その進化系統はガラル地方の生態系と結びついている。レドームシへの進化ではむしタイプを維持しつつ、より特化した進化への準備が進む。レベル30に到達すると、イオルブがエスパータイプを加えて進化系統を完成させる。
長い進化の物語が描かれているわけでも、世代をまたいで変化が積み重なってきたわけでもない。存在感は第8世代に集中しており、第9世代のゲームには登場しない。そのため、技や実用性は対戦の最後まで使い続ける種族というより、ガラル地方を序盤から進む過程の一部として考えたほうが理解しやすい。
数値が示すもの
配分は、数字だけを見れば耐久寄りに見える。とくぼうとすばやさは45だが、HPは25で、ぼうぎょは20しかない。とくこうは25、こうげきは20なので、どちらの攻撃手段にも十分な火力がない。努力値はとくぼうを1だけ獲得できる。
可能性をもっとも大きく変える特性は、命中率を上げるふくがん。ちょうおんぱを使いやすくできるが、それでも命中率が不完全な技であることに変わりはない。むしのしらせは瀕死に近い状態でのみ機能し、テレパシーはダブルバトルで味方の攻撃から身を守ることに特化している。
冒険中の使い方
ある種のつなぎとして使うのが向いている。レベル技のむしのていこうによって、レベルを上げているあいだも戦闘に貢献できるが、ダメージは限られる。ねばねばネットを覚えさせていれば、よりはっきりしたサポート役として戦闘を始められる。じこさいせいで場に残りやすくなるものの、低いHPや20しかないぼうぎょを補えるわけではない。
むしタイプなので、くさ、エスパー、あくに対して有利に戦える。くさ、かくとう、じめんへの耐性は特定の戦闘で役立つ一方、ほのお、ひこう、いわは明確な対策になる。レベル10ですぐに進化するため、進化させずに使い続ける意味は、制限プレイを目的にする場合を除けばほとんどない。
力の弱いデビュー
同じむしタイプの幼虫であるアゴジムシとは分類を共有しているが、知性とデータ収集という点でコンセプトが分かれている。アゴジムシがよりはっきりと掘り進む幼虫を表しているのに対し、サッチムシは体の毛を使って観察する。
図鑑は、知性と力のあいだにある矛盾を強調している。常に情報を集め、とても知能が高い一方で、身体的な力には乏しい。体重8 kg、身長0,4 mという数値も、直接戦うのではなく知覚に頼る小型の生き物という印象に合っている。進化系統の最後では、最初の観察がエスパー能力を持つポケモンへと変わるが、出発点にいるのは、ほとんど身を守れない幼虫である。