ヒコザル徹底解説
状態を映す炎
しっぽは体から切り離された飾りではない。炎は胃のガスから生まれ、体調に合わせて変化する。元気なときは勢いよく燃え、弱っていると小さくなる。ポケモン図鑑の説明では、この炎は休息とも結びついており、眠っている間は消える。体そのものから生まれる炎と猿の体が一体になっていることが、このデザインを形作っている。
小型で二足歩行をし、身軽さに特化した種族だ。分類の「こざるポケモン」は動物としての土台を示すが、背中側の斑点と炎によって、一般的な霊長類とは異なるシルエットになっている。重たい動物のように振る舞うわけでも、力任せの強さに頼るわけでもない。木や岩場を登り、岩の多い地形を移動し、雨の中でも炎を保つことが表現の中心にある。
火と猿をつなぐ名前
ヒコザルとその進化形のデザインを手がけたのは、海野隆雄。英語名はチンパンジーを意味する「chimp」と、燃やすことに関係する「char」を組み合わせている。日本語名はヒコザルで、火、小さいものや子ども、猿を連想させる要素を組み合わせた名前だ。スペイン語ローカライズでは、この組み合わせを訳さず、国際名を使っている。
進化系列は2つの方向性を発展させていく。モウカザルは炎を保ったままかくとうタイプを加え、ゴウカザルはその組み合わせを、より攻撃的で速い姿へと押し進める。ヒコザルは、まだ進化形ほどの対応力はないものの、物理技、特殊技、パンチ技を使い分ける方向性をすでに示す、わかりやすい初期段階だ。
シンオウからスカーレット・バイオレットへ
第四世代で、シンオウ地方の3匹の最初のポケモンの1匹として登場した。レベル技の構成は時代とともに変化している。現在の技リストにも個性を形作る技の流れは残っているが、アクロバットのような選択肢が加わり、技マシンによってサポート、攻撃範囲、能力強化の技にも手が届くようになった。わるだくみ、ちょうはつ、まもる、とんぼがえり、ステルスロックによって、単純なほのお技の攻撃役とは異なる役割を組み立てられる。
隠れ特性のてつのこぶしも、この種族が使えるパンチ技の増加にともなって価値を高めてきた。ほのおのパンチとかみなりパンチが最も直接的な活用法で、きあいパンチは適切なターンを確保できれば大ダメージを狙える。初登場時点ですでにてつのこぶしはこの進化系列と結びついていたが、後の世代で組み合わせられる技の環境が変化している。
進化前の短い期間
通常のプレイでは、耐久力より素早さ61のほうが役に立つ。状態異常、壁、設置技を準備する相手にちょうはつを使ったり、低い防御のせいで倒される前にステルスロックを置いたりするのが基本になる。特殊技ではかえんほうしゃが安定した選択肢で、オーバーヒートはより強力だが、使った後に特攻が下がる。わるだくみは、耐久力のある相手を前にすると、積むための隙をほとんど見つけられない。
攻撃と特攻が同じなので構成を調整しやすい一方、どちらの面でも突出した火力がないという問題もはっきりする。ほのおのパンチ、はたきおとす、アクロバットで異なる相手を狙えるが、ダメージは進化形に及ばない。すぐに戦力を高めたいなら、レベル14に到達した時点でモウカザルへ進化させると、耐性が変わり、かくとうタイプも加わる。レベル36まで進めればゴウカザルを使えるようになり、そこで進化系列は本来の攻撃性能に到達する。