ダダリン徹底解説
動き続ける沈没船
デザインの出発点は、沈んだ船の錨と舵をまとめている海藻の塊だ。海の残骸に、呪われた幽霊船のイメージを組み合わせている。海藻は金属に垂れ下がった飾りではなく、本体そのものだ。絡みついた物体は、急ごしらえの外殻として機能している。舵の配置と錨の隙間も、海賊のドクロを思わせる。
日本語名のダダリンは、呪いと舵に関係する言葉に由来する。英語名のDhelmiseにも航海とのつながりが残っており、舵を意味する英語の「helm」に近い響きを持つ。「アンカー」だけを見た表面的な解釈よりも、「アンカーシップポケモン」という分類のほうが、このコンセプトをよくまとめている。
海底の捕食者
図鑑の説明では、2つの特徴が繰り返し語られている。1つ目は、海藻で獲物を包み込み、生気を吸い取る能力。2つ目は、狙う相手の大きさだ。ホエルオーも獲物になりうるとされ、錨の一撃でノックアウトできるとも説明されている。海を巡回して手当たり次第に食べ物を探す生き物ではなく、海底に沈んで待ち伏せ、大きな何かが近づいたときに襲うタイプだ。
クズモーへの言及は、その行動のなかでも珍しい部分を示している。ダダリンは獲物には敵意を向けるが、目立たない姿をした別の海の種族とは友好的な関係を保っている。この対比によって、単なる憑りつかれた物体というだけでは終わらないコンセプトになっている。
こうそくスピンからアンカーショットへ
バトルでの価値は、131という攻撃、防御100と特防90、ノーマルとかくとうへの無効、そしてこうそくスピンへのアクセスという具体的な組み合わせから生まれる。設置技を使う相手の前に繰り出し、ステルスロックを除去しながら、相手にパワーウィップを警戒させられる。アンカーショットは、はがねつかいで強化されるうえ、相手を交代しにくくするため、さらに圧力がかかる。
この戦略には明確な限界もある。素早さ40なので、ダメージを受ける前に動けることはほとんどない。ほのお、あく、ゴースト、こおり、ひこうには弱点を突かれ、やけどや攻撃性能を下げる技にも大きく苦しめられる。通常の対戦では、相手の技構成を把握してから、耐性のある技に合わせて繰り出すほうがうまく機能する。準備なしで場に出すポケモンではない。
交代要員を持たない種族
ダダリンは第7世代で、進化前も進化後もない状態で登場した。その時点から、はがねつかい、こうそくスピン、パワーウィップ、アンカーショットによって、競技面での個性が定まっていた。第8世代では教え技としてポルターガイストを習得し、相手の持ち物を利用できることで、物理攻撃型としての強みが増した。また、素早さの低いポケモンを中心としたチームや、かくとう無効を持つこうそくスピン要員を必要とする構築とも結びついていた。
ほかのくさタイプと比べると、物理面での存在感がずっと直接的だ。ほかのゴーストタイプと比べると、設置技を除去する役割を維持しているが、その汎用性の代償として素早さが非常に低く、扱いにくい弱点も抱えている。別の姿に頼らなくても見分けがつく。海藻と舵と錨だけで、最初のひと目からすべての物語を語っている。