ヨノワール徹底解説
アンテナと冥界の口を持つ幽霊
死をめぐるいくつものイメージをひとつにまとめたデザインだ。体つきは単眼の幽霊を思わせ、ひとつだけの目は日本の妖怪の一部に見られるものとも重なる。腹部の口は死者の世界への入口として機能し、生者を飲み込む「地獄の口」という発想にもつながる。また、魂をあの世へ導く存在である、死者の案内役の性質も備えている。
アンテナは別の解釈を加えている。単なる霊的な生き物を表すのではなく、異次元から送られてくる電波を受信する。これは、超常現象の解釈のなかで死者の声だとされる電子音声にも通じる発想だ。図鑑の説明はこの要素を組み合わせ、落ち着かない疑問を残している。魂を導いているのか、それとも自分でも理解していない命令に従っているのか。
英語名は「夕暮れ」を意味する「dusk」と、フランス語で「黒」を意味する「noir」を組み合わせたものだ。日本語名のヨノワールは語尾の「noir」を残し、夜や超常現象、邪悪さを連想させる。
物語を締めくくるための進化
ヨノワールは第4世代で、サマヨールの進化形として登場した。それ以前の作品では入手できなかった。見た目の変化は、小さくてどこか子どもっぽい幽霊から、密度が高く重々しい、番人のような姿へと進んでいく。最後の進化でもゴーストタイプは変わらないが、魂を運ぶ存在というイメージがより強調されている。
入手方法もこの変化を印象づける。Dusclopsにれいかいのぬのを持たせて通信交換すると、この姿に進化する。『Pokémon LEGENDS アルセウス』では進化方法がゲームシステムに合わせて変更され、サマヨールにアイテムを使うだけでよく、通信交換は必要なかった。第5世代ではまだおみとおしを持っておらず、この特性が隠れ特性として追加されたのは後のことだ。
防御だけでは足りないとき
サマヨールと比べると、進化後は攻撃が高くなり、攻撃面での存在感も増しているが、しんかのきせきを活用できなくなる。この比較が、ヨノワールの評判の悪さの一因だ。防御と特防の種族値は135だが、HPは45しかなく、攻撃を受けるたびに体力の大きな割合を失う。ほかの耐久型ゴーストには、回復技や追加の耐性、より多くの役割をこなせる要素がある。
役割としては、試合中ずっと居座る壁というより、こうそくスピンを止めるポケモンに近い。過去世代の分析では、下位フォーマットでチームのステルスロックなどの設置技を守り、ノーマルやかくとうの攻撃に後出しするために使われた。かげうちで弱った相手を仕留められ、おにびで物理アタッカーのダメージを抑えられる。シャドーボールは特殊面を補うが、特攻は65なので、大きなプレッシャーをかける技にはならない。
有意義な1試合にする使い方
具体的な役割がある場面まで温存するとよい。ノーマルやかくとうの技を無効化する、相手の設置技の除去を阻止する、おみとおしで持ち物を確認する、といった場面だ。その後は物理アタッカーにおにびを使い、いたみわけでHP差を埋めるか、相手がすでに弱っているならかげうちを使う。プレッシャーはPPの少ない技に対して効果が高く、1回ごとの使用回数が響く長期戦ほど活きる。
情報がないまま、あくタイプのポケモンに繰り出してはいけない。どくどくややけど、連続した攻撃にも早い段階からさらさないほうがいい。防御と特防は高いが、HPの低さと安定した回復手段のなさが、最終的には負担になる。状態異常を管理し、あくタイプを交代させられる味方がいると、役割をこなしやすくなる。
見た目からは、冥界から来た無敵の存在を想像させる。実際の対戦でできることは、もっと具体的で壮大さには欠ける。優先度技と守備的な有用性を備えた、鈍足の壁だ。相手の持ち物を明かすアンテナも持っている。