バサギリ徹底解説
カマキリの斧
デザインの出発点はカマキリ、とくに枯れた葉のようなカマキリのイメージだが、シルエットはそこからずっと無骨なものへ変化している。ストライクの翼は小さくなり、腕の先は黒い岩の斧になった。この選択は、非常に鋭い刃を生む火山ガラス、黒曜石を思わせる。さらに、強大な力を相手に勇敢に立ち向かうことを表す「蟷螂の斧」という日本語の表現にもつながっている。
英語名は大型の包丁を意味する cleaver に由来し、音の響きには razor も思わせるところがある。日本語名のバサギリは、一撃で切るイメージに、斧とカマキリを指すカマキリの要素を組み合わせたものだ。分類の「まさかりポケモン」もこのイメージをそのまま保っている。ここでは武器が体の一部なのだ。
ストライクの2つの進化先
バサギリは第八世代の『Pokémon LEGENDS アルセウス』で、ヒスイと結びついたストライクの新たな進化形として登場した。進化には火山地帯を思わせる鉱物、くろのきせきが必要になる。結果はハッサムと対照的だ。はがねタイプの進化先が体をコンパクトにして機械のように見せるのに対し、バサギリは虫の体つきを保ったまま、それを鉱物へ変えている。
その後、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』には転送で登場し、第九世代の対戦にも加わった。この経緯から、最初からパルデアでの通常の育成や捕獲を想定された種族ではないことがわかる。進化系統では最終進化にあたり、中間形態ではない。
出して、切って、引く
対戦で最もわかりやすい役割は物理の先発役だ。がんせきアックスなら攻撃しながらステルスロックをまけるため、初手から相手に対応を迫れる。きれあじが斬る技を強化するので、むしやいわを半減・無効にしない相手には、刃を使う攻撃が深刻な脅威になる。
相手が1ターンを許せば、つるぎのまいで方針を変えられる。その後はきりさく、シザークロス、ストーンエッジなどでこうげき135を活かせる。とんぼがえりは防御に回る相手を見て場を離れ、主導権を保つための技だ。相手のほうが速かったり、タイプ一致技を受けられたり、いわ・はがね・みずの攻撃で圧力をかけ続けられたりすると、このプランは崩れる。
周囲の進化先との比較
ストライクと比べると、バサギリは空を飛ぶイメージを失い、より重い物理的な存在感を得ている。いわタイプによって一部の耐性は改善するが、重要な弱点も増え、場に出るたびにステルスロックで体力を削られる。ハッサムと比べれば、はがねタイプもその防御寄りの性能も持たないが、がんせきアックスときれあじによって、初動の圧力はより強い。
見た目も別の物語を語っている。ストライクが素早く正確に切り裂く捕食者に見えるのに対し、バサギリはその発想から技術を捨て、怪力に置き換えた姿だ。ポケモン図鑑の説明でも、斧は縄張りを示すためにも獲物を仕留めるためにも使われるとされている。そのため、待ち構えるより力で道を切り開くポケモンという性質に合っている。