オトシドリ徹底解説
良い知らせを運ばないコウノトリ
デザインの出発点は白いコウノトリと、ヨーロッパで広まった「コウノトリが家族に赤ちゃんを運んでくる」という言い伝えだ。オトシドリはそのイメージをひねり、エプロンによって世話をする鳥らしさを残しながら、そこに物を詰めて投げ落とす。英語名は「bombardier」と「bird」を組み合わせたもので、日本語名のオトシドリは、物を落とすことを表す「おとし」と「とり」に由来する。
この発想は、石を使って食べ物を割る実在の鳥にもつながっている。物を落とす習性についてはヒゲワシやエジプトハゲワシが有力なモチーフで、とさかはカンムリヅルのような鳥を思わせる。結果として、親しみやすいコウノトリというより、即席の猛禽類に近い姿になっている。戦う鳥のイメージはアーマーガアとも共通するが、エプロンと物を運ぶ性質によって、シルエットははるかに個性的だ。
前段階なしで登場
オトシドリは第9世代のポケットモンスター スカーレット・バイオレットで登場した。進化前も進化後も別の姿も存在しないため、デザインは一族の中間段階としてではなく、最初から完成した1種として成立している。その独立性もあって、最初から複数の方向性の技を覚える。タイプを活かすひこう技とあく技、投げ落とす物を表現するいわ技、そしてすてゼリフやステルスロックのようなサポート技だ。
世代をまたいだ長い歩みはまだない。ゲーム内での歴史はパルデアから始まったため、過去作から引き継いだ能力、特性、技の変更が現在の使い方を左右することもない。
石に意味を持たせる特性
いわはこびは隠れ特性で、いわタイプの技を強化する。この性質によって、いわなだれ、ストーンエッジ、がんせきふうじは単なる補完技ではなく、ほかのひこう/あくアタッカーとオトシドリを分ける中核になる。いわなだれは安定したダメージを出し、ストーンエッジはより大きな一撃を狙え、がんせきふうじは相手の素早さも下げられる。
この特性だけでは主な問題は解決しない。素早さ82では多くのアタッカーを抜けず、特攻60ではあくのはどう、ぼうふう、ハイパーボイスに頼る価値も低い。物理型が正解で、あく技のはたきおとす、ひこう技のそらをとぶやブレイブバード、交代先に刺さるいわ技を組み合わせる。チームが場に出たときの圧力を必要としているなら、ステルスロックで構成を完成させられる。
パーティでの役割
ストーリーでは、じめんとエスパーを無効化できる物理アタッカーが必要なときに活躍する。それらの技に合わせて繰り出し、はたきおとすで相手の道具を奪い、交代を誘ってステルスロックを仕掛けられる。くさやゴーストのポケモンに対してはタイプと技の相性がよいが、防御85と特防85だけを頼りに、強力な攻撃の前に居座らせてはいけない。
対戦での採用は限定的だ。でんき、こおり、いわ、フェアリーへの弱点は突かれやすく、物理技に耐性を持つ相手には止められやすい。いわはこびもストーンエッジを当てる必要がある点までは解消せず、回復手段も与えない。タマゴ技のはねやすめを採用すれば場持ちは改善するが、そのぶん攻撃技や補助技を1つ削ることになる。
バルジーナと比べると、攻撃が高く、より直接的に攻められる一方で、防御寄りの性能は低い。ヤミカラスと違い、後の進化を前提に役割を担う必要はない。攻撃103とステルスロックへのアクセスが、パーティに入った瞬間からその役割を決めている。