メタモン徹底解説
メタモンと「同じ」
日本語名はメタモン。英語の「metamorphosis」を短くした形に、初代の名前に数多く使われている語尾の「モン」を組み合わせている。英語名は別の道を選んだ。ditto は「同じ」「同上」という意味で、前の行を繰り返さないために一覧表へ書く言葉だ。1996年の名前としては、ヨーロッパの言語へ翻訳されなかった珍しい例のひとつである。日本語でも「同上」という発想が通じるため、うまく機能している。2つの名前を並べると、このポケモンの全体像が見えてくる。一方は仕組み、もう一方は結果を表している。
『赤・緑』のバグからSmogonの駒へ
2世代のあいだ、メタモンは珍しいだけの存在だった。初代では、へんしんで種族値がどうコピーされるかに関わるプログラム上の不具合があり、対戦ではほとんど実験室の小ネタに近かった。第2世代ではメタルパウダーが追加された。当時は防御と特防を50%上げ、変身後も効果が続いた。第3世代以降は、防御を2倍にする代わりに、変身していないあいだしか効果がなくなり、価値はかなり下がった。
本当の転機は第5世代のかわりものだった。隠れ特性によって、ゲーム中最悪の種族値を持つポケモンが、最高の種族値を借りて使えるようになった。それ以来、対戦環境のリストから姿を消していない。種族値を1つも変更されないまま、無関係な存在から安定した対戦要員へ変わる種族は珍しい。
コピーの設定
使われる配分はすべて同じ方向を向いていて、初めて見る人には意外に映る。HPと防御を最大にし、素早さは下降補正の性格にして、個体値を0にする。コピー後は相手の素早さになるうえ、残りはこだわりスカーフが補ってくれるので、素早さそのものは重要ではない。遅くするのは同じメタモン同士の対決のためだ。相手より遅ければ、相手に先にかわりものを発動させ、へんしんのPPも先に切らせられる。HPは252ではなく248にする。ステルスロックなどの場に出たときのダメージを減らし、わるあがきを5回耐えるためだ。
多くの人が見落とす細かい点もある。みらいよちは、変身する前の特攻を使ってダメージを計算する。そのため、エスパータイプをコピーすることを想定した構成では、役に立たなさそうでも、性格をれいせいにして特攻へ252振る。テラスタイプは、ステルスロックのダメージを抑えられるはがねが定番だ。先制技が問題になるときは、ゴーストやフェアリーも採用される。
変身、姿の偽装、完全なコピー
近い能力を持つポケモンと、メタモンの方法を混同しないようにしたい。ゾロアークは見た目を変えるだけで、種族値もタイプも自分のままだ。攻撃を一度受ければ、イリュージョンも解ける。ドーブルはスケッチで相手の技を永久に覚えられるが、体そのものは変えない。メタモンの場合は、物理的かつ完全なコピーであり、ポケモンがボールへ戻るまで続く。
もっとも繰り返し比較されてきたのは、へんしんを覚え、重さもまったく同じ4キロであるミュウだ。そこから、メタモンは失敗したクローンであり、ミュウツーを生み出したポケモン屋敷の同じ研究室から生まれたのではないか、というファンの説が出てきた。ゲームフリークは肯定も否定もしていない。その説は、ゲーム内の裏付けがないまま、ほぼ30年にわたって語られ続けている。