ドーブル徹底解説
壁にサインを残すビーグル
英語名は、塗りつけるという意味のsmearと、デザインのほぼ全体を写した犬種beagleを組み合わせたものだ。短い鼻、垂れた耳、斑点。犬ではない部分は筆になったしっぽと、頭の平たい帽子で、イーゼルに向かう画家らしい雰囲気を出している。
日本語名のドーブル(Dōburu)には、定まった解釈がない。海外の資料では、相手の技をコピーすることからdoubleに関係すると見る説と、dogと落書きを意味するdoodleの組み合わせと見る説がある。3音節なのでどちらにも読めるし、ゲームフリークが意図を明言したこともない。
PPは1、しかも永久保存
スケッチのPPはどの世代でも1を超えたことがなく、効果も決定的だ。コピーした技がそのまま残る。ほかの専用技と違う最大の特徴は、持ち主がレベルアップでスケッチをもう一度覚えられることで、同じ個体でも機会さえあれば4つの枠を埋められる。
『スカーレット・バイオレット』では、最初から壊れていた。バージョン1.0から2.0.2まではスケッチをバトルでまったく使えず、パッチ3.0.0で再び機能するようになり、同時に例外の一覧も長くなった。ダークホール、いじげんラッシュ、さいきのいのり、そしてテラパゴスのテラスタルした姿の専用技は、もうコピーできない。以前から対象外だったわざ――わるあがき、おしゃべり、Zワザ、そしてスケッチ自身――に加わった形だ。第2世代では、へんしんとも604? ものまねも受け付けなかったが、この制限は第4世代で解除された。
自分でありながら、他者をコピーする
このシリーズには、他者のものを借りる方法が3つあり、3つとも仕組みが違う。メタモンはへんしんし、相手の姿、タイプ、能力値、技を取り込むが、続くのはバトル中だけで、HPは自分のものだ。カクレオンは攻撃を受けるとタイプを変えるが、それ以外は何も変わらない。3匹の中で、戦利品を持ち帰るのはドーブルだけだ。技を図鑑に刻んだ状態でバトルを終え、250の合計値もそのまま、入ってきたときと同じ犬の顔で戻ってくる。
実際のところ、同じ個体は2匹として存在しない。同じトレーナーが、キノガッサの系統からコピーしたキノコのほうし持ちと、罠を満載した別の個体を連れていても、ゲーム内の表ではどちらも同じ能力値の、同じ低性能な種族として表示される。
図鑑が語ること
図鑑の説明は1999年から同じ細部を繰り返している。縄張りのマーキング、しっぽの液体、絵で埋まった壁。記録された5000種類という数を持つ種族はほかになく、落書きをするポケモンという冗談を、図鑑の執筆者が本気で膨らませたことがうかがえる。成長した個体の背中にある足跡も同じ方向を指している。それは自分の署名ではなく仲間の署名であり、群れの中で年齢を示す印として機能している。