ラブトロス徹底解説
ヘビの尻尾を持つ春の女神
ラブトロスのデザインには、宗教や神話にまつわる複数のモチーフが組み合わされている。化身フォルムは、豊穣と繁栄に関わり、ヘビの体を持つ日本の神、宇賀神を思わせる。収穫や多産、春の訪れに関係する女神たちとも共通する特徴がある。首に巻きついた尻尾は締めつけるヘビのように見えるが、種族を取り巻くロマンチックなイメージと結びつく、羽毛のボアにも似ている。
英語名は、愛に関係する2つの言葉「enamor」と「amorous」を組み合わせたもの。日本語名のラブトロスは「love」と、ギリシャ神話で風に関係するアイオロスの名が由来になっている。日本語では「愛と喪失」に近い意味にも読め、命を与えて罰を下し、守る一方で復讐するという、二面性のある性格に合っている。
4体目の自然の力
ラブトロスは第8世代、『Pokémon LEGENDS アルセウス』で初登場した。それまでトルネロス、ボルトロス、ランドロスは男性だけの3体だった。ラブトロスの登場によって4体の集団となり、春と結びつく存在が加わった。霊獣フォルムは神話的なモチーフをさらに広げており、吉兆をもたらす獣の集まりの中では玄武と関係している。
その設定は、通常の進化を持たない理由も説明している。幼体でも中間段階でもなく、うつしかがみによって姿を変える伝説の存在なのだ。化身フォルムは人型とヘビのようなシルエットを保っているが、霊獣フォルムではその姿を捨て、雲を守る生き物に近い外見になる。
多くのミスが許されないアタッカー
特攻135、素早さ106の化身フォルムは、何ターンも攻撃を受けながら戦うのではなく、場に出て攻撃するためのポケモンだ。ムーンフォースが最も安定した選択肢で、はるのあらしは追加のダメージを与えられるうえ、専用技という価値もある。だいちのちからはどく、はがね、でんきタイプに刺さり、ばかぢからは攻撃115とあまのじゃくを組み合わせて活用できる。
あまのじゃく型では、ばかぢからによって攻撃を下げる代わりに上げられる。この反転によって両刀寄りの運用が可能になるが、防御70が本当の耐久になるわけではない。めいそうは相手が交代を強いられた場面で使いやすく、こうそくいどうは素早さで上回ろうとする攻撃的なチームへの対策になる。いやしのねがいで、相手の守りを崩したあとに退場し、別の味方を回復させることもできる。
いわ弱点のため、ステルスロックは常に問題になる。先制技や、より素早いポケモンの存在によって、攻撃するか引くかの選択を迫られる。どくとはがねはフェアリー技を半減し、でんきとこおりは2つのタイプの両方に有効だ。そのため、設置技への対策、安全に交代できる手段、これらの耐性持ちを削れる味方がいると動かしやすい。
愛と憎しみ、そして難しい初手
対戦以外では、入手の難しさが最大の壁になる。伝説のポケモンで、タマゴを作れず、捕獲率も3だ。ヒスイでは紅蓮の湿地に1回だけ出現するため、普通の捕獲のように扱わず、事前に準備してから挑みたい。霊獣フォルムはその後、レベルアップでも進化でもなく、うつしかがみで手に入る。
タイプの組み合わせという点では、トゲキッスに近い。ただし、能力配分は別の方向を向いている。トゲキッスがより耐久寄りでサポート向きなのに対し、ラブトロスは特攻とあまのじゃくによる危険性に強みを集中させている。その違いは個性にも表れている。進化の系統に連なる存在ではなく、季節の変化と新たな命の訪れに結びついた伝説の力なのだ。