フォレトス徹底解説
リベット付きのミノムシ
デザインの元はミノムシだ。周囲にあるものを使って袋を作り、その中で枝にぶら下がる幼虫である。ライン全体がそこから来ている。クヌギダマは松ぼっくりに見える植物製の袋をまねており、進化するとその素材が金属板に置き換わる。同じ生き物が、同じ問題をより良い材料で解決しているわけだ。
英語名は fortress と forest を組み合わせたもの。要塞と森で、このポケモンの要約そのものだ。日本語のフォレトスも、同じ2つの要素で同じものを組み立てている。太平洋を越えるとジョークが変わる種族も少なくないが、これは変わらない。
進化したあとも公式の分類が「みのむしポケモン」のままなのは、この図鑑で最も奇妙な点だ。ポケモン図鑑は125キロの金属球を説明しておきながら、それを昆虫の未成熟な状態として分類している。変態の先にさらに何かがあるのかは、いまだに明かされていない。
ジョウトからパルデアへ
『金・銀』で、同じ世代に初登場したはがねタイプとともにデビューした。エスパーが支配していたゲームに新しい耐性を持ち込むためのタイプだった。初期のわざ構成は短かったが、そこにはすでに、25年間にわたってチームに居場所を与えてきたまきびしが含まれていた。
その後に加わった要素は、種族値の調整よりもこのポケモンを大きく変えた。第4世代の『ダイヤモンド・パール』でどくびしが登場し、攻撃する代わりに相手をどく状態にする2つ目のわざになった。第5世代の『ブラック・ホワイト』ではボルトチェンジが登場し、ダメージを残して場から離れられるようになった。初期世代では一撃必殺技を防ぐだけだったがんじょうも、第5世代でHP満タン時の一撃でのひんしをすべて防ぐようになり、そこで初めてささいな能力から戦術の土台へ変わった。天候によるダメージを無効化する隠れ特性のぼうじんは、さらにあとになって登場した。
もうひとつのむし・はがねになる
ハッサムとはタイプが完全に同じなのに、似ているところはまったくない。ハッサムは物理攻撃と反応の速さに優れた数値を持つが、こちらはすべてを防御に振り、140という数値は第2世代で見られたなかでも特に高い。同じタイプの組み合わせを正反対に解釈した2匹だ。攻撃する耐性と、動かずにわざを置く耐性である。
歴史的な問題は、その仕事を外注できることだ。まきびしを置き、同じように耐え、さらに回復できる種族なら、より少ないリスクで同じことができる。後の世代でその条件を満たす相手が現れるたびに、居場所は狭くなっていった。
それでも、がんじょうとだいばくはつの組み合わせは固有の強みとして残る。最初の一撃を確実に耐え、わざを置いたまま、次のターンに正面の相手を巻き込める。
普通の対戦での使い方
ストーリーモードでは、数値から受ける印象よりも活躍する。クヌギダマが登場する森は冒険の序盤に訪れることが多く、レベル31にも早く届くからだ。10種類の耐性があるため、相手がほのお技を持っていないかぎり、ほとんどのトレーナーに安心して繰り出せる。
レベル17のこうそくスピンは攻撃にも使えるし、相手が置いたまきびしを自分のフィールドから取り除くこともできる。レベル23ののろいは、失っても惜しくない素早さを下げる代わりに、こうげきとぼうぎょを上げる。レベル42のてっぺきは、140の防御を2倍にし、物理技がほとんど効かない数値まで引き上げる。
のろい、てっぺき、ジャイロボールという一連の流れは、別の人間が操作するポケモンとの対戦では時間がかかりすぎる。だが、ジムの人工知能が相手なら、苦もなく成立する。