イイネイヌ徹底解説
鎖であり、象徴でもあるもの
イイネイヌのデザインは大型犬をベースにしており、秋田犬を思わせる特徴に、少し柴犬らしさも加わっている。首にかかった鎖はリードのように見える一方で、神道のしめ縄も連想させる。ただし、ここで示されるのは従順さではない。鎖こそが筋肉を目覚めさせ、力を高める要素になっている。この矛盾は、キタカミの里の守護者とされながら、実際には用心棒のように振る舞う物語とも噛み合っている。
英語名は「okie-dokie」と「dog」を組み合わせたものだ。日本語名のイイネイヌは、「いいね」の肯定的なニュアンスを残しつつ、最後を「犬」を意味するinuで締めている。格闘技の道着を指す「dogi」とのつながりも、かくとうタイプであることや、シルエットの一部に見える体にぴったりした服装に合っている。
ともっこの筋肉担当
イイネイヌは、オーガポン、マシマシラ、キチキギスで構成されるともっこの中で、力を表している。オーガポンとの関係は、日本の昔話『桃太郎』を思わせる。犬、猿、雉が主人公の旅に同行する話だ。ポケモンでは、その着想がひねられている。ともっこはキタカミの里を救った英雄としてあがめられていたが、実際の歴史ではオーガポンの面を盗んだ存在だった。
イイネイヌは第九世代の「碧の仮面」で初登場したため、世代をまたいで役割が変化したわけではない。ゲーム中の物語は、ともっこの復活、もちによって引き起こされる力の増大、そして主人公との対決を軸に進む。進化前も進化後も別のすがたもなく、物語上の役割を変える要素は存在しない。
高火力だが、素早さは控えめ
対戦では、128の攻撃と115の防御が、その立ち回りをどんな呼び名よりもよく説明している。場に出て、そこそこ強い物理技を耐え、どくづき、インファイト、はたきおとすで圧力をかける。ビルドアップを使えば、その耐久力が徐々に攻撃面の圧力へ変わり、ドレインパンチならダメージを与えながらHPを回復できる。
どくのくさりは、相手が攻撃を半減してきた場合でも、何度も攻撃するターンに見返りを与える。ばんけんは役割が異なり、いかくで攻撃を下げようとするチームや、交代技で場から追い出そうとするチームに対して有効だ。ただし、どちらの特性も80に固定された素早さや、エスパー、ひこう、じめんへの弱点を解決してはくれない。
繰り出しを支える方法
イイネイヌは、強力な特殊技を何度も受けずに済む状況で最も力を発揮する。エスパーアタッカーやじめんタイプのポケモンを止められる味方がいれば、ビルドアップを使うターンを作りやすい。また、はたきおとすとどくのくさりで消耗させるには何度も場に出る必要があるため、チームにステルスロックなどの場の罠を解除する手段があると助かる。
長期戦で安定するのはドレインパンチで、すぐに相手を倒したいときはインファイトが向いている。はたきおとすは交代をとがめつつ、耐久寄りの相手から道具を奪える。こおりのキバを採用すればじめんやひこうへの対抗手段が増えるが、便利な技をひとつ失うことになる。特攻は58しかないため、本格的な両刀運用は考えにくく、はかいこうせんやきあいだまは趣味の範囲にとどまる。鎖は飾りではない。デザインの個性、キタカミの里の物語、そして対戦で相手に食い込んでいく戦い方を、ひとつの要素に集約している。