ランクルス徹底解説
ホムンクルスの姿をした細胞
ランクルスのデザインを手がけたのは森次慶子。体を包む緑色の物質は細胞質を思わせ、内部の形は細胞小器官と結びついている。進化の流れも細胞分裂を表しており、ユニランが1つの構造を持ち、ダブランでそれが2つになり、ランクルスでは複数になる。腕はアメーバの仮足として読める一方、人型のシルエットと不釣り合いに大きな頭部によって、概念は人間らしい特徴を持つ人工的な存在、ホムンクルスへと近づいている。
手をつないだときに脳がつながるという特徴は、さらに別の層を加えている。これは飾りではなく、ポケモン図鑑では念力を増幅するネットワークとして説明されている。日本語名のランクルス(Lanculus)は、卵細胞を意味する「ラン」と homunculus を組み合わせたもの。英語名の Reuniclus は reunite を思わせ、個体同士の結合という発想に合った名前になっている。
30のすばやさを活かす、ゆっくりした最終進化
ランクルスは第5世代で、テーマ上のライバルであるゴチルゼルとともに登場した。どちらもエスパータイプだが、コンセプトの向かう先は異なる。ゴチルゼルが占星術や星の観察を取り入れているのに対し、ランクルスは細胞生物学、脳のつながり、微小な生命へと目を向けている。この対比からも、見慣れた動物に似せた姿を目指していないことがわかる。
後のゲームでも、最終進化形は同じコンセプトを保っている。現在の技レパートリーでは、登場時から備えていた2つの側面、すなわち特殊な火力と場のコントロールがより強調されている。サイコキネシスやみらいよちで強く攻撃できるだけでなく、ひかりのかべ、リフレクター、サイドチェンジ、スキルスワップ、ワンダールームでバトルのテンポを変えることもできる。スカーレット・バイオレットでは、さらに技マシンでサイコノイズ、サイコフィールド、ワイドフォースも選択肢に入る。
30のすばやさを活かす方法
通常の攻撃型の戦術で、すばやさの低さを補おうとするのは得策ではない。自然な居場所はトリックルームの中か、遅く戦うことを前提にしたチームだ。めいそう、じこさいせい、サイコショックを軸にした構成なら、とくこうの上昇が積み重なる前に相手へ対応を迫れる。マジックガードによって間接ダメージを受けずに繰り出せるが、直接攻撃を防ぐことはできず、物理アタッカーの問題まで解決してくれるわけではない。
相性補完が多くの対面を決める。きあいだまはエスパー技に耐性を持つタイプに圧力をかけ、シャドーボールはゴーストや別のエスパータイプを攻め、エナジーボールはみずやじめんタイプを削る。4つの技枠をすべて攻撃技で埋めるのは得策ではない。じこさいせいとめいそうこそが、耐久力を勝ち筋へ変える技だからだ。さいせいりょくなら繰り出しては戻す動きに向いた別の運用ができる一方、場に居座りたいときはマジックガードが一般的な選択になる。
緑色の液体にある毒の一面
ポケモン図鑑の説明によると、体を覆う液体を飲むと非常に高い知能を得られるが、ランクルス以外の生き物にとっては猛毒になる。この設定は細胞らしい見た目にも合っている。本人にとっては防護膜であり、行動するための媒体でもあるものが、ほかの生き物にとっては危険な物質になるのだ。
この対比はバトルにも表れている。体は柔らかく、あまり脅威には見えないが、HPととくこうは高く、ゲーム中の説明によれば腕には岩を砕くほどの力がある。この種族は目に見える鎧を必要としない。実際の防御は、豊富なHP、回復手段、そしてマジックガードで間接ダメージを無効化する能力にある。