ヌケニン徹底解説
木に張りついた抜け殻
元になっているのは、日本では身近なものだ。セミが地中から出てくるときに残す、空洞の皮――木の幹に何週間も張りついたままになる、茶色くてもろく、背中が開いた抜け殻である。デザインはそれをほとんど飾らずに写しており、図鑑の説明が迷信に変えた背中の穴まで含まれている。
日本語名の[ヌケニン]は、「抜ける」――何かから抜け出す、脱皮する――の「ヌケ」と、忍者に由来する「ニン」を組み合わせたもの。英語名も shed と ninja で同じ仕組みを繰り返し、スペイン語名はそのままだ。
ふしぎなまもりのひび割れ
ふしぎなまもりを自然に持つ種はほかにいない。トレースやへんしんを使って、借りることしかできない。その穴の一覧は世代ごとに変わってきており、そこを見ればこのポケモンの本質がわかる。
第3世代と第4世代では、タイプなしのダメージがそのまま通った。しっぺがえし、みらいよち、はめつのねがいが、何の問題もなく入ったのだ。ほのおのキバも、当時のゲームのプログラムミスによって通っていた。第5世代以降はタイプなしのダメージが防がれるようになり、今も常に通るのはわるあがきだけだ。タイプを持つ技以外から受けるダメージ――やけど、どく、こんらん、反動、天候、場に出たときのわな――を防がない点は、最初から変わっていない。一撃必殺技と、相手の特性を無視する技も同様だ。
*ミカルゲ* と比べると、これが単なる耐性ではないことがわかりやすい。ゴースト・あくタイプの*ミカルゲ*は、タイプ相性表に弱点がひとつもない状態を2世代にわたって保っていたが、そこにフェアリータイプが加わった。そのあいだも、攻撃は普通に受け止めていた。こちらには受け止める余地がない。技が0になるか、1ダメージを受けてそのターンが終わるかのどちらかだ。中間が存在しないからこそ、攻撃とは関係のない数値ひとつで種全体が崩れる。
HP1はステータスではない
HPは通常の計算式では算出されない。ゲームはその処理を飛ばし、レベル、性格、個体値、育成に関係なく1を割り当てる。これは、命令によって固定されたステータスとして知られている唯一の例だ。影響はそこから積み重なる。道具や回復技には回復するものがなく、わざマシンの一覧にはねむるまであるのに、まったく活用できない。第8世代ではダイマックスの対象から除外された。
それ以外の能力欄は普通だ。攻撃90は、最終進化したポケモンの多くを上回っており、ゲーム側もそれを使う技を用意している。自力で覚える技では、レベル64で覚えるシャドーダイブが最も強い。わざマシンではシザークロス、むしのさざめき、ギガドレイン、あなをほる、はかいこうせんを覚える。どのデータも意味を変えない。隣にある1がすべてを打ち消し、育成も道具も性格も、その1を1点たりとも動かせないからだ。